古版木摺り 聖護院門跡所蔵「葛嶺雑記」

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葛城修験道の情報を網羅した江戸時代のガイドブック的存在「葛嶺雑記」

京都市左京区にある本山修験宗 総本山聖護院門跡より、所蔵の古版木「葛嶺雑記」の摺りをご依頼いただきました。

「葛嶺雑記」は、智航上人が葛城修験の再興を図るため、葛城二十八宿を踏破した行程を事細かに記録したものです。江戸時代末期の嘉永3年(1850年)、それが編纂され、葛城修験道に関するさまざまな情報が記された現代の旅行ガイドブックのような書物が出版されました。

今回お預かりした版は、両面に彫りを施された15枚と片面彫り1枚の計31面におよぶもので、江戸時代に制作されたにもかかわらず保存状態が良好で、摺りやすいものでした。

古い版木の状態を確認し摺る

書物用の版木のため、横の長さが一定ではないものの、製本しやすいようにか、縦の長さはほぼ同じ

乾いた状態の版木に水分を与え、摺りやすい状態になってから墨摺りをする

見当がついていない版木の場合は、机の端や版木の横を目安にする。その際、机と版木の位置と紙の大きさも考慮することが重要。紙を置くときには、非利き手を版木横の机や版木端を支えに、すばやく置くとずれにくい

摺り上げた紙は、墨で裏面が汚れないように並べ置き乾かす


概要

内容聖護院門跡所蔵 「葛嶺雑記」古版木 摺り
原本制作時期嘉永3年(1850年)頃
版木山桜板 16枚(両面彫刻15枚・片面彫刻1枚)
制作年2025年

本山修験宗 総本山聖護院門跡

京都市左京区にある寺院。寛治四年(1090)に白河上皇の熊野御幸に先達を務めた増誉大僧正が創建し、「聖体を護持した」功績から「聖護院」と名付けられる。戦乱や火災を経て、延宝四年(1676)に現在の地に再建され、皇室との深い結びつきから出家された皇族方がたびたび住職を務める格式高い門跡寺院とされる。また、修験道を実践する本山修験宗の総本山でもあり、雅な側面と修行の伝統を併せ持っている。

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