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時代を経て、甦る江戸時代に授与されていた木版摺りの御影
大阪府八尾市にある教興寺につたわる大弁才天尊御影の古版木摺りをご依頼いただきました。
この版木は、江戸中期、教興寺が再興された際に安置された弁才天像とおおよそ同じお姿で、弁才天信仰の高まりとともに御影を信者らに授与するために制作されたと推察されるそうです。金光明最勝王経にしるされた弁才天のお姿を中心に、帝釈天や婆蘇大仙などの眷属、そして牛や獅子などの獣たちが描かれ、厳格に古来の尊像をまもり作られた貴重な御影です。
およそ200年もの間、教興寺の蔵に保管されていましたが、大切に保存されていたため状態がよく、一部に墨が固まった箇所があるものの、江戸時代の精密な彫りが今に残っていました。今回、竹笹堂の摺師の手により鮮明に摺られた御影は、奉納された際に精度の高い摺り技術だと評価いただきました。
また、これを機会に長らく途絶えていた御影の授与も検討されるとのことです。
概要
内容 | 教興寺所蔵「大弁才天尊御影」版木 摺り |
作者 | 不明 |
制作時期 | 江戸時代中期頃 |
サイズ | タテ約39cm×ヨコ約28cm |
作業内容 | 木版単色墨摺1版 |
制作期間 | 約1週間 |
教興寺(きょうこうじ)
大阪府八尾市にある真言律宗の寺院。山号は獅子吼山、院号は大慈三昧院。聖徳太子の命によって秦川勝が創建した古刹。鎌倉時代、西大寺の叡尊によって復興されましたが、のちの教興寺合戦において多くの堂宇が焼失しました。江戸時代になり覚彦浄厳によって再興され、現在に法灯を伝えています。尚、弁才天像は年2回、1月1日~7日と7月7日に御開帳されます。