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江戸時代に授与されていた護符の再現
奈良県奈良市にある手向山八幡宮につたわる牛玉寶印護符の復刻をご依頼いただきました。
手向山八幡宮は、天平勝宝元年(749)東大寺大仏建立にあたり大分県の宇佐八幡宮より守護神として八幡神を分祀されたのが始まりで、長い間、東大寺に属した鎮守社でした。明治時代の神仏分離令により独立した神社となり、現在に至ります。
今回ご依頼いただいた護符の版木は現存しておらず、手向山八幡宮所蔵の古文書に残る江戸時代の護符の雛形を見本に復刻しました。護符の墨摺りもご依頼いただき、古来の作法にならい、その墨にはお預かりした牛黄(ごおう。牛の胆のうにできる結石を乾燥させたもので、貴重な霊薬)を混ぜたものを用いました。
この護符は、平成30年(2018)神仏分離から150年の節目の記念に作られましたが、現在は授与されていません。
文献の写しからも版木の復刻が可能に
記録が伝える情報を正確に写しとる
古文書に残る雛形のコピーから、レイアウトや文字を調整し版下を作成。誰もが摺りやすい版に彫刻する。
版木彫刻から木版摺り、印仕立まで
一枚一枚手摺りした護符は、お納めしたのち、併せて製作ご依頼を受けた宝珠印が丹朱で捺され授与される。
概要
内容 | 手向山八幡宮所蔵 「牛玉寶印 護符」版木 復刻 |
作者 | 不明 |
制作時期 | 江戸時代 |
サイズ | 牛玉寶印 タテ約32cm×ヨコ約34cm×厚さ約2.5cm(版木) 宝珠印 タテ約11.5cm×ヨコ約9cm×厚さ約2.5cm(版木) |
作業内容 | 牛玉寶印 山桜板 単色墨摺1版1枚/版下作成・版木彫刻・木版印刷 宝珠印 山桜板 単色朱摺1版1枚/版下作成・版木彫刻・印仕立て(台木付) |
復刻期間 | 約1ヶ月 |
手向山八幡宮(たむけやまはちまんぐう)
奈良県奈良市に鎮座する神社。主祭神に八幡大神(譽田別命)が祀られている。天平勝宝元年(749)東大寺大仏建立にあたり大分県の宇佐八幡宮より守護神として八幡神を分祀され、鎮守社「東大寺八幡宮」として役割を果たしていた。その後、明治時代の神仏分離令により東大寺より独立し、現在に至る。紅葉の名所として知られ、多くの有形文化財や無形民俗文化財の祭礼がある。